ハイブリッド仲介業者の参入が話題となっている。これに対抗するものが従来型のトラディショナルと呼ばれる仲介業者で、センチュリー21、コールドウェルバンカー、リマックスなどがその代表例である。ハイブリッド型の特徴は売り手にかかるコミッションのディスカウント、買い手エージェントとして機能した場合のコミッションの買い手への払い戻し、ハイテク技術の駆使、給料やボーナスを中心としたエージェントの報酬体系がその基本となっている。代表例はレッドフィン社である。
以下トラディショナルとハイブリッドの主要企業の比較をあげてみた。
トラディショナルブローカレージにとって、ハイブリッドの脅威があるということは否定できない。しかし今のところ両者とも少しずつビジネスモデルを変えながら、お互いに自らの短所を改善する動きに出ている。例えばトラディショナルは場合によってコミッションを引き下げるとか、モバイルアプリなど新たなテクノロジーを積極的に使用する努力を始めた。また従来のように個人ベースでオフィス内でも競い合う方法に変わってレッドフィンが行っているようなチーム制でアプローチする方法を採用するトラディショナルブローカレージも増えている。
一方ハイブリッドではショーイングやホームインスペクション時の立会いなど、これまでできる限り避けてきた労働集約型のサービスを提供し始めた。
即ち両者の距離は徐々に短まりつつあるといえる。レッドフィン社CEOグレンケルマン氏は「市場はレッドフィンだけでなくコールドウェルバンカーも必要としている。両者はお互いに存続するだろう。」と述べている。
多くのトラディショナルエージェントにとってハイブリッドの存在がコミッションの下落につながると脅威を感じている。そのためハイブリッドブローカレージに対する反感が強い。
レッドフィンが提供するテクノロジーで仲介業に役に立っているものをあげると、物件検索サイト、ショーイングスケジュール機能、3Dホームツアー、コンタクト先や取引管理システム、オファー(申し込み)システム、CMAツール、教育システムなど多岐にわたっている。
アナリストの多くはこれまでの歴史から判断して、現在のような売り手市場ではコミッションを売り手が多額に支払うことを嫌うためハイブリッドブローカレージがもてはやされるが、いったん市場が下り坂になるとハイブリッドビジネスはほとんど存在しなくなると見ている。しかし最近の動きからすると必ずしもそうではなさそうだ。
ハイブリッドがトラディショナルのビジネスモデルを一部採用し始めた。例えばレッドフィンでは買い手エージェントとして成約した場合、当初エージェントはサラリーベースのみで、買い手にコミッションのリベートを行うのが最大の特徴であった。しかし最近同社ではリベート額を減らす分エージェントへのボーナスを増やすポリシーを取っている。
やはりエージェントとのパーソナルタッチがある程度必要だと判断したようだ。
ニューヨーク市でハイブリッドブローカレージを営むコンパス社はエージェントの報酬体系をこれまでのサラリー+ボーナスから完全コミッション制にスイッチしている。
また同じくニューヨーク市内にあるハイブリッドブローカレージトライミント社では、同社が提供する付加価値の高いサービスを考慮すればあまり効果がないとして買い手に対するコミッションリベートを廃止している。
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