アナリストクレッグロー氏
IT技術がビジネスにもたらすインパクトは計り知れないものがある。
不動産ビジネスにおいてもそれによって不動産企業、エージェント、顧客がいつでもどこでもどのデバイスを使用しても検索ややり取り、実際の取引ができるようになることが最終ゴールさと言える。その中で最も注目されている分野がAI(人口頭脳)を使ったコミュニケーションツールである。
その一つがスカイラー360(Skyler360)である。同ソフトはもともとアパート経営者がテナントのスクリーニングのために開発されたソフトであった。創立者であるロンサッソン氏は「いかにしてアパートに連絡してくる入居資格のなりテナントとの無駄なやり取りを減らすことができるか。」という課題から始まった。その解決法としては必要がなければ一切やり取りしないというものであった。テキストとメールを利用して、AIが自動的に顧客とのやり取りをしてくれる。
このやり取りを通じてクライアントが自動的にスクリーニングされていく。またこれまでのような自動応答装置や留守番メッセージとは異なる。いわゆる人口頭脳に近い機能である。数秒で応答が来るとクライアントがロボットだとわかってしまうため、あえて応答時間は人間のそれに近い2分間となっている。
上記の例にあるように最初の応答は相手のメルアドを聞くところから始まる。クライアントがそれを送ると定型の回答や物件のパンフレットが送られる。クライアントがそのメールをクリックすれば自動的にショーイング可能な日時が表示されたカレンダーが出てくる。クライアントがその中の日時をクリックすれば、アポの確認がAIから送られる。といった次第である。
日時は自動的にエージェントのグーグルカレンダーに入力される。これまでのすべてのステップはソフトが自動的に行なってくれる。
コミュニケーションの詳細はカスタマイズすることが可能である。
自動化の機能は素晴らしい。
エージェントがMLSに掲載している物件へのリードから、エージェントのホームページと機能されることもできる。MLS情報を見てアクセルしてきたクライアントを登録しサーチプロファイルにセーブできれば、あとはソフトが自動でクライアントのリクエストにマッチした他の物件を紹介し、ショーイングのアポ取りまで進めてくれる。
同社は電子署名のドキュサイン(Docu Sign)社とパートナーシップを組んで契約の自動化を進めようとしている。
またシステムが予期していない質問や会話を受けた場合、「あとでご連絡差し上げてよろしいでしょうか」という一言で対応している。またいつでもエージェントが自動モードからマニュアルモードに切り替えることができる。
同システムダッシュボードを見ると、各クライアントとのコミュニケーションの始まりから終わりまですべてが記録されている。
さらにグーグルカレンダーやインボックスに入ったクライアントのプロフィールから自動サーチツールであるチャーリー(Charlie)やニンブル(Nimble)を使えば、クライアントのバックグラウンド情報のほとんどが簡単に入手できる。
その他ショーイングスイートドットコム(Showingsuite.com)を使えばショーイングのアポ取りを自動化できる。
スカイラー360はまだ完璧といえず、多くの部分で改善の余地がある。しかしこれまでの進化を見ると今後注目に値する。また自動化への流れも否定できない。
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