家さがしで部屋数、築年や価格だけで検索していた時代は終わりつつある。ライフスタイ
ル、買いやすさ、通勤時間などこれまであまりクローズアップされなかった要素が買手に
とって重要となってきた。
エージェントにとって物件をいくつ見せても買手が求めているものと食い違うケースが
多々ある。これは大都市などで細かく市場が細分化されている場合ほど難しい。データア
ナリティックスを使って必要とされる物件をピンポイントで検索ツールが登場している。
買手(エージェントも)にとって検索は膨大なデータサーチから始まる。部屋数、価格、
ロケーションから数百の物件データを取り出す。そこからさらに検索条件を加えることに
よって実際に見る物件に絞り込むのがこれまでのやり方である。ここからの絞り込みは主
にプロであるエージェントに任せられることが多い。しかし経験豊富なエージェントでも
膨大なデータから客観的に顧客が望む物件を正確に全て網羅することは困難と言える。デ
ータを整理するだけではなく、分析、評価することが求められるからだ。
インリックス(www.inrix.com)やウェーズ(www.waze.com)ではマップアプリを使って、
通勤時間や渋滞時の近道などを調べることができる。
ハウスファックス(www.housefax.com)では以下のような通常物件のカタログには出てこ
ないデータを提供してくれる。
• 保険の適用データなどから火災、洪水、地震、カビなどの問題があったか
• 他に保険の適用があったか
• エリア内で自然災害の被害はあったか
• ギャングや犯罪のアジトとなったことはあるか
• 公共料金はいくらか
こういったデータを集めて4−5件の物件を実際にショーイングできれば、買手の求める物
件にかなり近づけることができる。TLC エンジン社のクリシュナマヤラ女史は「部屋数や価
格だけで物件を検索する時代は終わった。最近の買手は買いやすさ、通勤時間、学校区、
など広くライフスタイルに関わる総合的な情報を求めている。」と説明している。
例えば価格が重要であると言っても、価格の他に固定資産税、火災保険、管理組合費など
買手が購入後支払わなければならない費用が存在する。買手はこういった費用を全て含め
て総合的に判断することになるため、単純に価格だけでの検索では十分と言えない。
前述のインリックスやウェーズでは単純な通勤時間を知ることができるが、夫が30 分以内
で妻が20 分以内の通勤圏を求めている場合は対応できない。そこでデータアナリティック
スの機能が必要となる。こういった通勤時間やコストまで家の購入時に分析することがで
きれば、郊外で低価格の物件より街中で高額物件を購入した方が安くて済むといった結論
をデータ分析によって導くことが可能となる。
7年前にオンボードインフォマッティックスというカテゴリーでスペーシャルマッチ
(Spatial Match)がワードプレスでリリースされて話題となった。家の基本情報だけでな
く、ご近所、人口構成、学校区、コーヒーショップの場所などライフスタイルに関する情
報を提供するのがその狙いであった。
今日ホームジャンクション(www.homejunction.com)やTLC エンジン(www.TLCengine.com)
ではこういった情報をさらに総合的にしかも簡単に入手できるアプリを不動産会社、エー
ジェント向けに提供している。
前述のマヤラ女史は「家を持つことによってかかる本当のコストはこれまでの価格と住宅
ローン支払額をメインにした計算式では把握できない。ライフスタイルコストを加味した
新たな評価方式が今後主流となるだろう。」と述べている。
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