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ニュース&トピックス

レント抑制案が大都市各地で浮上

(リアルタードットコムのパメラフェルディナンド女史による記事を要約)

スタッシャパウエルさんが17年前にサンフランシスコから約40キロ離れたレッドウッドシティーにある1ベッドルームのアパートに引っ越した時のレントは毎月$625であった。現在のレントは$1040であるが、これが一気に$2600になると通知を受けたばかりである。アパートの広さは450sq.ft.(約45㎡)でエアコンなし、電気配線は古すぎて過電流になるため電子レンジやヘアードライヤーが使えない。同市はグーグルやフェースブックなどの巨大IT企業のお膝元となっている。

高くなるレントを支払えないパウエルさんにとってはやむなく退去するしかない。アパートは新たなオーナーに譲渡されたため値上げとなっているが、他のテナントの多くも退去を予定している。「退去の日が近づくにつれて出るのが辛い。ここは自分の家のようだ。病気のためフルタイムで働けないから高いレントは支払えない。」と嘆いている。

2019年1月における全米大都市のレント比較

今全米中、特に大都市周辺でこのような問題が増加している。政府・自治体、そしてテナント保護団体などが急速なレントの値上がりを抑制してテナントを保護する動きに出ている。アフォーダブルハウジングと呼ばれるリーズナブルなレント価格の住居確保は今後米国の大きな課題である。オレゴン、イリノイ、カリフォルニアなど州レベルで一気にアフォーダブルハウジング対策が取り沙汰されるようになった。これまでレントを一定の金額や割合以上に上げることを禁止するいわゆるレントコントロール法が各地で存在していたがこれをさらに拡充するか新たな保護策を模索する動きが広まっている。

全米のレント平均は$1185でこの1年間で1.5%上昇している。しかし都市部における上昇額はそれをはるかに超えている。人口増加が著しい西海岸を中心とした州では値上がりが最も激しい。

全米大都市でレントの上昇が最も激しかった地域と最も上昇が少なかった地域各トップ5較

(ヤーディマトリックス・レントカフェより)

オレゴン州は全米に先駆けて州全体でレント上昇率にキャップ(上限)を設定する法案を通過させた。これは同州における最近の急速なレント上昇への対策として設けられた。テナント保護団体の一つであるコミュニティーアライアンスオブテナントのディレクターカトリナホランド女史によると「ポートランド市南西地域では350%レントが上昇した地域がある。もはやこれを放置しておくわけにはいかなくなった。」と述べている。レントキャップは年間で7%+インフレ率となっている。また築15年以下のものは適用外となっている。

コロラド州はレントキャップの代わりにレント値上げの事前通知期間を長くしている。
カリフォルニア州ではレントコントロールを拡大しようとした法案が昨年11月に却下された。そのためテナントの保護を強化する別法案を計画している。これには州全体でインフレ率を除いて実質で値上利率を最高5%にすることが盛り込まれている。同法案は2020年に住民投票にかけられる予定である。
イリノイ州は過去に却下されたレントコントロール法案を再審議する動きが出ている。ニューヨーク州でもテナントの権利を増やす法案を民主党が提出する予定である。

ハーバード大学センターオブハウジングスタディーが2017年に調査した報告書によれば2005年から2015年の10年間で月額レントが$2000を超えた物件数は97%増加したという。同期間でレントが$800以下の物件数は2%減少している。物件数でも過去10年間全米で670万件増加したが、レントが$800以下の物件数は逆に26万件減少している。
このようにアフォーダブルハウジングの不足は明らかである。これまではコミュニティーや地方自治体の課題であったが、徐々に州や連邦政府に関わる課題になりつつある。テナントへの税制優遇措置、アフォーダブルハウジング建設に対する財政援助、減税、建築規制の緩和や特例といった様々な試みが検討されている。

これに対して所有者保護団体やNAR(全米不動産協会)はレントコントロールに対して反対の立場を取っている。レントコントロールを拡大・強化すれば所有者にとってモチベーションが下がり結果としてさらなるハウジングの不足やレントの高騰、物件管理の怠慢によるテナントへのトラブルを招くなど逆効果であると主張している。
その典型がカリフォルニア州サンタモニカ市である。レントコントロールが強すぎて特に中小のアパート所有者にとって投資としてのインセンティブが下がっている。レントコントロールがあるユニットでは通常テナントが市場価格よりはるかに安いレントで借りているためほとんど退去することがない。所有者にとって維持管理コストが年々増加するのにレントの上昇が追いつかない。また退去してもらうには多額の引っ越し費用を支払う必要がある。そのため大資本を有する企業のみ同市で新たな投資ができる状況となりつつある。

サンタモニカ市におけるユニットサイズ別レント推移

(サンタモニカレントコントロール委員会年次レポートより)

全米でレントプアー(レントの支払いが多すぎて貧乏だという状況で、所得の30%以上をレントに支払う場合を指す。)は4300万人に達している。サンタモニカでは1ベッドルームのアパートを借りるのに年収は最低1100万円以上必要となっている